第109章 最後の公演

二日後。ロサンゼルス東部、廃墟同然の劇場――看板には「錆」の文字。

錠前だけが新しく、入口には黒い車が一台停まっていた。

黒い制服のスタッフが何人も、機材を黙々と運び込んでいる。

通りすがりの住民が「撮影かなにかか」と覗き込むと、スタッフは丁寧に微笑み、やんわりと下がらせた。

夕方6時。

セバスチャンが車のドアを開け、エヴァの腰に手を添えて段差を降ろす。

エヴァは黒の膝丈スカート。左腕のギプスは外れていたが、リハビリ用の包帯がまだ巻かれていた。

手には封筒。中には、打ち出された書類が束になって入っている。

「本当にやるのか」

セバスチャンが問う。

「やる」

エヴァは錆色...

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