第12章 契約結婚

セバスチャンは片手をズボンのポケットに突っ込み、淡々と言った。

「彼女、魚介アレルギーだ」

エイドリアンの笑みが、ぴしりと固まる。

「弁当のシールに『キャビアのサンドイッチ』って貼ってある」セバスチャンはエイドリアンを見据え、容赦なく突き刺した。「兄妹愛ってのは、アレルギーの既往歴ひとつ入る余地もないのか。芝居を打つなら、台本くらい暗記してこい」

エイドリアンの顔色が一瞬で鉛色に沈んだ。顎の筋肉がひくり、と二度ほど痙攣する。だが言葉が出ない。

エヴァは横目でセバスチャンを見た。

魚介にアレルギーがあるなんて、誰にも言ったことはない。どうやって調べたのだろう。

それでも――エイド...

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