第56章 自ら姿を現す

彼はグラスを置いた。

「彼女は絶望する」

アーサーの瞳の奥に、冷酷な笑みが灯る。

「自分の誇りも暴力も、自然の前では何ひとつ役に立たないと知ったとき――ようやく理解するだろう。誰が本当の支配者なのかをな」

キャサリンは目を伏せた。

「旦那様。もしセバスチャンが遮断網を力ずくで破ったら……ヴァンスグループの技術力は侮れません」

「破れない」

アーサーは鼻で笑う。

「遮断網の心臓部は、軍の退役妨害車両だ。奴がここを突き止めた頃には――エヴァは干からびた死体になっている。あるいは、俺の足元で這いつくばる犬だ」

立ち上がり、モニターの前へ。

跳ねる赤い数字を、指先でなぞる。

エ...

ログインして続きを読む