第63章 頭がおかしくなりそう

「好きにしろよ」

レオは肩をすくめると、御曹司ぶったところなど一切見せず、腰を折って足元の枯れ枝を拾い上げた。

一方――

セバスチャンはヤシの木陰に立っていた。黒のタクティカル・マウンテンパーカー。背筋は真っすぐで、灼けるような暑さなど気にも留めない。

視線の先にあるのは、ビーチの向こう。遠くに設置された追跡カメラが送ってくる映像だ。

モニターに映っているのは、エヴァとレオ。

クロエが化粧を直し、スカートの裾をつまんでセバスチャンの隣へ寄る。

「ヴァンスさん」

無理に作った笑み。声は甘ったるい。

「暑いでしょう? ティッシュがありますから、汗、拭きましょうか」

手を伸ばし...

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