第65章 通信設備

五十メートル先。

茂みの奥で、赤外線レンズの赤い点がちかちかと瞬いた。迷彩服のカメラマンが泥の上に腹ばいになり、息を殺す。両手で超望遠を構え、人さし指をシャッターに食い込ませたまま。

クロエが提示したのは、破格の200万。条件はひとつ――エヴァが制作陣の人間と規定違反の接触をした瞬間を押さえること。撮れさえすれば、金は即日振り込まれる。

セバスチャンの鋭い視界の端が、その赤点を掠めた。だが足は止まらない。

瞳の奥に、傲慢さと狂気がひらりと灯る。隠れるどころか、彼は片手でエヴァの後頭部を掴み、レンズの方向へ正面から――強引に唇を塞いだ。

侵略的で、所有欲に満ちたキス。拒否など許さない...

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