第69章 キャサリンが来た

セバスチャンは立ち上がると、タクティカルベストのポケットから黒い極小のデータ端末を取り出した。USBメモリを差し込むや否や、画面には複雑な緑のコードが一気に踊り出す。

指先が仮想キーボードを叩く音だけが、テントの中に乾いて響いた。

十秒。

コードの流れが、ぴたりと止まる。

セバスチャンが眉根を寄せた。

「……どうしたの?」

エヴァが異変を嗅ぎ取る。

「空だ」

セバスチャンはUSBメモリを引き抜き、テーブルへ放り投げた。

「ただのウイルスの入れ物だ。感染させるための導線しかない。変異型ウイルスの中核コードなんて入ってねえ。ヴァンスグループのファイアウォールを壊しに来た道具で、...

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