第71章 豪華な食事

唇が、そっと触れ合う。

冷たいモミの樹脂と、硝煙だけが残す匂いをまとったまま。

エヴァは逃げなかった。腕を上げ、指先でセバスチャンの広い肩を引き寄せる。

次の瞬間、セバスチャンの腕がきゅっと締まった。彼女の身体を容赦なく抱き込み、歯列をこじ開ける。狭いテントの中に残っていた薄い空気さえ、奪い尽くすみたいに。

海風がテントを揺らす。蚊帳の向こう、星の川は息を潜めていた。

暗闇で呼吸を交換する。どちらも、退かない。

――そして朝。

海鳥の鳴き声が、あちこちから重なって響く。

雲の切れ間から射した光が、ビーチ一面に広がった。

セバスチャンがテントの垂れ布を持ち上げ、身をかがめて外...

ログインして続きを読む