第79章 油断したな

セバスチャンが低く言った。掠れた声。

片手でエヴァの両手首を押さえ込み、もう片方で足元に落ちていたペイントボールガンを拾い上げる。銃口が、エヴァの腰の後ろへぐいと押し当てられた。

エヴァは抵抗しない。

わずかに首を傾け、背後の男を横目で捉える。

「そう?」エヴァの声は落ち着き払っていた。焦りの色など、どこにもない。

セバスチャンが眉をひそめる。

――その一瞬。警戒が緩んだ瞬間に、エヴァが動いた。

信じがたいほどのしなやかさで、両脚を後方へ跳ね上げる。狙いは正確に、セバスチャンの腰と腹。

体幹が一気に締まる。

教科書みたいな柔術の返し技。

形勢が、ひっくり返った。

どさっ...

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