第87章 彼女を待っている

音量は大きくない。だが、異様なほど鮮明だった。

全員が振り向く。

キャサリンが、キャンプの外縁に立っていた。

物資の奪い合いに加わった形跡はない。服も肌も汚れておらず、髪ひとつ乱れていない。

彼女は大股でカメラの前まで歩き、ドローンの赤いランプを真正面から見据えた。

「私の事務所から、たった今指示が来ました」

キャサリンの口調は強硬だった。動揺の欠片もない。

「現在、島内の安全状況は限界を超えています。よって私は一方的に、収録からの離脱を宣言します」

監督が呆然とした顔で彼女を見る。

「お、おい……契約違反になるぞ……?」

キャサリンは答えない。

ボディーガードに囲まれ...

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