第105章

「取り壊し予定のビルで死体が出ました。通報したのは建物の管理人で、明日の朝イチで解体が入るから、今日のうちに念のため見に行ったらしいです」警官が言った。

アランはもう一度ネロを見る。だがネロは視線を返さない。左腕を机上の事件簿の端に預け、形のいい手を鼻先に添えて口元を隠したまま、向かいの何もない壁を見つめている。考え込んでいるようでいて、その目は鉄みたいに冷え切っていた。

「そしたら死体を見つけて、巡回の連中を呼んだ。顔を見て、クンストだって分かったそうです」警官は続ける。

「俺とイアンで下行くぞ。お前も来るか!?」別の警官が入ってきて、アランに怒鳴った。

アランはネロを連れて、署の...

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