第146章

その日――午前は「国内犯罪と治安情勢」の講義だった。冒頭では、数人のクラスメイトが順番に、自分の出身州における情勢分析と事例を発表していく。

ネロは、あの大教室のことを妙に鮮明に覚えている。椅子も机も青。窓には黒い遮光カーテンが下ろされ、前方のスクリーンにはやけに輪郭のはっきりしたスライドが映っていた。クラスは二十数名、教室の前半分にばらけて座っている。少し後ろにデイビスとスコット。空気には取るに足らない複合ポリエステルの匂いが漂い、隅には背の高い観葉植物が置かれていた。

二人目に話した学生は、たまたまテキサス州の出身だった。

ネロは一度、そいつが自分の「何か」に気づくんじゃないかと不...

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