第162章

アランはその場に立ち尽くし、何度も迷った末にネロへ電話をかけた。

手の中で、画面だけが執拗に点滅する。長い呼び出し音のあと、ようやくカチリとつながった気配がして、アランは慌てて端末を掴み、口を開きかけた――その瞬間、画面がパッと暗転し、通話は切れた。

画面を見つめたまま、胸の奥が妙にざらつく。

あの男に自分から電話をかけたことなど、ほとんどない。いつだって向こうからかかってきた。こちらが取り損ねて折り返したときも、呼び出しが鳴るより先に、すぐに拾われた。

――こんな電話、かけるだけ無駄だった。

アランはこっそり息を吐き、もう一度だけ迷ってから、入口の方へ引き返そうとした。

そのと...

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