第163章

「俺……あんたと同じだ。あの工場から、このビルに辿り着いた。――たしか、去年の今頃だったと思う」

部屋の灯りを落とし、カーテンを開ける。窓の外には、黒い靄に沈む通りが広がっていた。

ネロは机の縁に腰を掛け、声を落とす。

「それで、この最上階の部屋を借りたくなってさ。大家を探して、この辺りも一通り歩いた。どんな連中がいるのか、周囲を見ておきたくて。……そしたら――クラブのある通りからそう離れてないだろ。だから近所に、結構……この商売の人間が住んでた。俺が……エイデンと、もう一度会ったのも、その頃だ」

あの夜、雨上がりの路地を、ネロはまた当てもなく回っていた。

クラブの近くまで来たとき...

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