第164章

二人は夜の底で、長いあいだ見つめ合っていた。窓の外では、ネオン広告が幻みたいに色を変え続けている。

その周囲で、夜だけが――水の流れのように、音もなく過ぎていく。

それでも、二人は視線を外さない。

「……俺には、すげえ大事なんだ」

しばらくして、ネロが言った。

窓の外の喧噪は、いつの間にか引いていた。答えを探す二人だけが、部屋の真ん中の床に、ぽつんと向かい合って立っている。

あたりは、しんと静まり返る。

窓辺から差す冷たい月明かりが、二つの影を思いのほか薄く見せた。

広告の光が、一定のリズムで二人の顔と身体を撫でていく。明るくなっては消え、消えてはまた明るくなる。光――闇。闇...

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