第19章

例のいちばん有名なクラブ。入った瞬間、音が腹の底まで叩き込んできた。人、人、人。煙が渦を巻き、今日はやけに混んでいる。

アランは酒を一杯頼み、防火扉の脇――少しだけ静かな一角で椅子を見つけて腰を下ろした。前にネロと出くわしたのも、確かここだ。

そう思った途端、重低音とネオンの洪水に煽られて、身体の奥が勝手に熱を持つ。アランは舌打ちまじりに口の端を歪め、周囲を睨むように見回した。

ふと、向かいの人波の中にエイデンが見えた。次いで、エイデンの肩口に顔を埋めている頭が視界に入る。持ち上げなくても分かる。ネロだ。

心臓がひゅっと跳ねる。反射的に顔を背けようとした、その瞬間――ネロが顔を上げた...

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