第198章

ハリがファルコンに来たのは、その年のことだった。

ある朝。エレベーターを降りたハリは、案内表示が見当たらず、きょろりと廊下を見回した。

「すみません……」

廊下に入ってすぐの小部屋の前で足を止め、少し迷ってから声をかける。そこは給湯室だった。

冷蔵庫の脇で、淡い青緑の襟付きジャケットを着た少年が、片膝をついた姿勢のままコーヒーメーカーの下をいじっている。保温の温度を調整しているらしい。

物音に気づいた少年が振り向いた。

その瞬間、ハリは――驚くほど整った顔立ちの、若い男の子を見た、という印象だけが強く残った。

「ファルコンの5023号室って、どっちですか?」

自分でも気づかな...

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