第22章

夜。喧噪に膨れ上がったクラブのフロアで、ウィリが席を立ち、外へ電話をしに出ていった。アランはそのまま、腰を据えて座っている。

通路の端――トイレから戻ってきたネロの顔は青白く、頬に残る傷が闇の中でやけに目立った。

そこへ、屈強な男が進路を塞ぐ。

「ひとりか?」

背丈はネロと大差ない。むしろ少し低いかもしれないのに、胴回りは倍ほどある。男はにやつきながら手を伸ばし、ネロの頬に触れようとした。

ネロは眉をわずかにひそめ、顔を背けてかわす。そのまま脇を抜けようとした――が、男はすでに距離を詰めている。

アランは席から、淡々とそれを眺めていた。

ネロは何も言わず、俯いて後ずさる。だが次...

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