第24章

ネロはあてもなく歩いていた。夜の闇をさまよう、行き場のない亡霊みたいに。

周囲にあるのは、墨を流したような暗さと、崩れかけた路地。――何年も前と、何ひとつ変わらない。

俯いたまま足を運ぶ。すると黒猫が「ニャッ」と甲高く鳛を上げ、すれすれを横切っていった。

気づけば、人の気配が増えていく。

「よう、ひとりか?」

誰かに声をかけられ、ネロははっとして顔を上げた。滲んだ夜色が視界を揺らし、一瞬、錯覚が走る。まるで――ずっと昔のあの夜、若い自分が顔を上げたときみたいに。

十五年前。ダラス。

「ポート」の店先。ネオンがちかちか瞬き、音楽が喧騒ごと路上へ溢れていた。

三日もまともに食って...

ログインして続きを読む