第55章

微かな朝の光の中、波が砂を洗う音がひんやりとした気配を運んでくる。

目を覚ますと、初日の夜と同じように、そばにヒルはいなかった。隣の部屋を覗くと、そこにいた。

ヒルはデッキチェアに身を預け、穏やかな寝息を立てている。

ネロは足音を殺し、毛布をそっと掛けてやった。

さっきまで夢を見ていた。子どもの頃に戻り、浜辺を歩きながら――昔、海に落としてしまい、どれだけ探しても二度と見つからなかった貝殻を拾い上げる夢。

ヒルの部屋は、壁の二面がドーム状の大きなガラス窓になっている。

ふと見上げたネロは、そこで立ち尽くした。

目の前の海は、信じられないほど静かだった。広大な水面が、夢のように幾...

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