第68章

土曜、アランの家。

ネロは門前に車を停め、そのまま中へ入った。

キッチンではアランが湯を沸かし、茶を淹れている。視線だけで「持ってきた酒はそこに置け」と示す。

ネロがキッチンから出た、その瞬間――視界を影が横切った。

「ねむい!」

子どもがものすごい勢いでキッチンに飛び込み、コップを置いたかと思うと、もう階段口へ消えていく。

「お昼寝する!」

「……おい、なんで子ども連れて帰ってきてんだ!?」

ネロは唖然としてアランを見た。そこでようやく気づく。アランは警察用のベストを着たまま、袖を肘までまくり上げている。小麦色の前腕に筋が浮き、顔には疲れが滲んでいるのに――妙に、やけに、格...

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