第75章

喧噪のクラブで、ネロはエイデンの隣へ戻って腰を下ろした。目の前を揺れながら流れていく人影を、ぼんやりと追う。言葉は、長いこと出てこない。

「ジェイス? ジェイス?」

エイデンがすぐそばに立ち、呼びかける。

「どうした?」

ネロははっと我に返った。口元にふっと自嘲の笑みが浮かび、首を横に振る。

「……行っちまった」

目の前のエイデンを見つめ、しばらくしてから、ネロは小さく息を吐いた。そして顔を背け、混沌としたダンスフロアへ視線を戻す。

「もう、やめとけ……ジェイス」

エイデンの手がネロの肩に置かれる。

「聞こえたか。やめろ。あれは、お前のもんにならない」

「分かってる」

...

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