第8章

「そのLINEのアイコン、ペア画か?」

車内の沈黙を破り、夏目隆が不意に口を開いた。片手でハンドルを握りながらも、その視線は前方の道路に注がれたままだ。

私は一瞬戸惑い、無意識にスマートフォンの画面に指を滑らせる。

「私の、この巻貝のアイコンのこと?」

「ああ。二人用の画像を、半分に切り取ったように見える」

夏目隆の声には、どこか探るような響きがあった。

「もう半分は、誰なんだ?」

思わず、乾いた笑いがこぼれた。

「もう一つの、私のアカウントよ」

私はひらひらとスマホを振ってみせる。

「自分で自分とペア画。何か問題でも?」

夏目隆の表情が、瞬時に固まる。口元...

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