第104章 恋人

土曜の夜に開かれたセレブ向けのティーパーティーは、J市でも指折りの会員制プライベートクラブが会場だった。香水とシャンパンの気配が溶け合い、艶やかなドレスの波のあいだを、上品な笑い声がさらさらと流れていく。

片瀬結希は目を奪うような真紅のオートクチュールドレスに身を包み、ダイヤのネックレスを喉元に光らせた。わざと歩幅を落とし、視線が集まる感覚を味わう。

――けれど。

会場の中央を見た瞬間、結希の表情がすっと冷えた。

片瀬澄乃が、そこにいた。

黒のベルベットロング。装飾は控えめなのに、仕立ての良さだけで格を見せる一着。首元には瀧本知暁から贈られたネックレスが揺れ、澄乃は名の知れた企業家...

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