第108章 氷上匡悟

三十分後――。

片瀬綺良が息を切らしながら駆け寄ってきた。頬には、媚びた笑みがべったり貼りついている。

「結希さん、私のこと呼びました? もしかして……すごい人に会わせてくれるとか?」

片瀬結希は綺良を上から下まで値踏みするように眺め、わずかに眉をひそめた。

「澄乃を呼んできて。主催側が話をしたいって。3階の308で詳しく、って伝えなさい」

一拍置き、声を落とす。

「いい? 必ず、騙してでも中へ入れさせること。失敗は許さない」

綺良の目がぱっと輝いた。

「任せてください! 絶対うまくやります!」

――これは、結希が自分にくれたチャンスだ。

大物に近づけさえすれば、運命だっ...

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