第110章 私は悪くない

彼女はすぐさま人だかりの最前列へ割り込み、目を見開いて衝撃を装いながら、わざとらしく声を張り上げた。

「……あれ、結希お姉さまです! どうして、こんなこと……!」

「えっ、身内なのか?」

周囲の名士たちが、にわかにざわつきながら寄ってくる。

「はい……片瀬綺良です。結希お姉さまの従妹で……」

片瀬綺良は涙をぽろりと落とし、唇を震わせた。「まさか、あんなふうに……あんなふうに堕ちるなんて……片瀬家の顔に泥を塗って……!」

泣いている顔の裏で、胸の奥は笑いが弾けていた。

片瀬結希はもう終わり。御華を任されることもない。ここで「私は関係ありません」と線を引く姿勢を見せておけば、御華の...

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