第125章 盗み取った

その夜――緋色。

村田美耶は闇に紛れ、自分のカードキーでビルへ入った。迷いなく片瀬澄乃のオフィス前まで行き、ノックしようとして――扉が、わずかに開いているのに気づく。

中から、澄乃が顎で入室を促した。

「で、今度は何を盗めって?」

「デ・ドール賞の応募デザインです。片瀬結希が、あなたの作品を先に見て、それより上を作るって」

澄乃はくすりと笑った。

「自信満々ね。欲しいなら――あげる」

金庫を開け、澄乃は一冊のファイルを取り出す。

「ここに応募用のデザインが入ってる。持って帰って、結希に渡して」

美耶は受け取りながら眉をひそめた。

「……本当に、これが出す作品なんですか? ...

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