第139章 別々の部屋で寝る

瀧本知暁の伸ばした手が、宙で固まった。

「……澄乃、奈菜はもう一人で寝られるだろ。俺たち――」

「いいの」

片瀬澄乃が言葉を遮る。

「奈菜、夜に悪い夢を見るかもしれないし。私が一緒のほうが安心するでしょ」

午後、木に登った件を言っているのだろう。何事もなかったとはいえ、澄乃の胸にはまだひやりとしたものが残っていた。

その言葉が落ちたちょうどそのとき、眠りこけた片瀬奏太を抱いた伊崎彩葉が廊下から戻ってきて、瀧本の父もその後ろに続いた。二人とも、澄乃の宣言をはっきり聞いてしまったらしい。

伊崎彩葉はぱちくりと目を見開き、瀧本知暁と、子どもを抱えて明らかに別室へ向かう片瀬澄乃を見比べ...

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