第145章 胸が苦しい

片瀬奏太は担架の縁にしがみつくように身を伏せ、拳をぎゅっと握りしめた。爪が掌に食い込みそうだ。涙があふれ、止まらない。

「パパ……ぼくが悪かった! ごめんなさい! ごめんなさい!」

――それから一時間後。J市でも指折りの私立病院、最上階のVIP手術室の前。

瀧本知暁の腕と背中の裂傷はすでに処置が済んでいた。出血は多かったが、幸い重要な神経は傷ついていない。傷は深く縫合が必要だが、命に別状はないという。

今は病室で、顔面蒼白のまま点滴を受けている。

廊下では、片瀬澄乃が血の気のない顔で病室の外に立ち、ガラス越しに中を見つめていた。いつも揺るがないはずの男が、ベッドの上で微動だにしない...

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