第150章 疑い

氷上匡悟という男は、気質がひどく偏屈で孤高だ。人にも物事にも容赦なく目が厳しい。彼が「認める」相手など滅多にいないし、まして「家族」と呼べる枠に入れる人間なんて、ほとんど存在しない。

同じ氷上家の血を引く自分でさえ――氷上匡悟から、親しみらしい親しみを向けられたことは一度もなかった。

なのに。

片瀬澄乃は、いったい何だというの。

彼女は片瀬家の、あの悪名高い片瀬大介の娘に過ぎないはずだ。

それがどうして、氷上匡悟とここまで深く繋がっている?

氷上悠雅の脳裏を、片瀬結希の言葉が矢のように駆け抜ける。

「伯母さん、全部、片瀬澄乃のせいです! あの人、子どもの頃から私に嫉妬して、何か...

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