第157章 裏切った

クロクマの喉から、首を絞められた獣みたいな嗚咽が転がり出た。握る手が、反射的に三分ほど緩む。

サルは声を震わせる。

「お、俺たち……選べねえんだ! 家族が龍兄の手の中にいる!」

片瀬澄乃は、もがいて歪んだ三人の顔を一瞥した。次の瞬間、ヒョウへ半歩、踏み込む。

「選べない? 私に手を出したら、あんたたちのほうがもっと悲惨よ」

ヒョウの顔に、ひゅっと恐怖が走る。瀧本知暁なら、やる。確実に。

サルも仲間へ視線を揺らした。

「ヒョウ兄……」

――今だ。

片瀬澄乃はクロクマの一瞬の虚ろを、視界の端で捉える。左腕のバックルがぷつりと切れ、腕時計が音もなく滑り落ちた。彼女はわざと暴れて脚...

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