第158章 注射

「龍兄! 人、連れてきました!」

ヒョウが倉庫の奥へ向かって叫ぶ。だが声は、はっきりと震えていた。

闇の中から龍真がゆっくりと姿を現す。片瀬澄乃を満足げに品定めし――その背後で、三人の手下が視線を交わしたことには気づきもしない。

「よし」

ヒョウはごくりと唾を飲み込む。

「龍兄……俺たちの家族は……」

龍真は苛立たしげに手を振った。

「心配すんな。約束は守る。お前らの家族はもう迎えを出した。安全な場所で待ってる。……さっさと消えろ。ここにお前らは要らねえ」

三人は赦免を得た囚人みたいに、弾かれたように動いた。

サルは額の冷や汗を拭う暇もなく車へ駆け、クロクマは立ち去り際に一...

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