第205章 初田さんの料理を味わう

伊崎大輝は緊張した途端、頭より先に口が動いた。

「ち、違います。初田さんが持ってきたんです。瀧本社長の身体にいいからって。中、全部……初田さんの手作りで」

言い終えた瞬間、しまった、と背筋が冷えた。そっと瀧本知暁を窺うと、案の定――ボスの顔色がみるみる落ち、黒く沈んでいく。

だが口にした言葉は引っ込められない。伊崎大輝は半ばやけくそで付け足した。

「初田さんが社長に料理を作ったの、今までなかったです。今回が初めてで」

――嘘だ。

「伊崎大輝。余計なことは言うな。黙れ」

瀧本知暁は澄乃に誤解させたくなかった。だが、もう遅い。

片瀬澄乃の表情はすでに沈んでいた。さっきまで笑みを宿...

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