第28章 深夜

瀧本知暁は、ぐらついた彼女の身体を危なげなく受け止めた。掌に触れた体温は、ぞっとするほど熱い。焼けつく吐息が彼の首筋にかかる。かすかな薬の匂い。そこに、ほんのりと甘い残り香まで混じっていた。

「くそっ……」

低く吐き捨てる。その罵りが、彼女をこんな目に遭わせた相手へ向けたものなのか。それとも、この状況で乱れる自分の鼓動に向けたものなのか――本人にも分からない。

横抱きにした瞬間、片瀬澄乃が不意に彼のシャツを掴んだ。爪が布地に食い込みそうなほど、強く。

「触ら……ないで……子どもたち……」

「子どもたち?」

瀧本知暁が眉をひそめた、そのときにはもう、彼女の意識は途切れていた。

ベ...

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