第6章 パパ?

あの年、片瀬澄乃はJ市を離れ、親友の前谷琴音に助けられてY国へ渡った。

ほどなくして妊娠が分かる。考えるまでもない。あの夜の男に決まっていた。

前谷琴音は中絶を勧めた。

どこの誰とも知れない男のために、これから先の人生まで背負い込む必要なんてない――そう言って。

けれど、医師の口から三つ子だと告げられた瞬間、澄乃にはもう手放せなかった。

日が経つにつれ、お腹の中で小さな命が動くのを感じるようになる。

そのたびに思った。

あの子たちを残して、本当によかったと。

そして、その三人は今もなお、澄乃に数えきれないほどの驚きと愛おしさをくれる。

たとえば、今みたいに。

片瀬和也は顔...

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