第60章 下手な芝居

一方そのころ、瀧本知暁もオフィスで次の一手を練っていた。前谷琴音が横から手を入れてきたことで、かえって自分の読みは確信へと変わった。

まずは本物の鑑定結果を押さえること。そこから、前谷琴音がなぜそんな真似をしたのか、そして片瀬澄乃がいったいどこまで隠しているのか――全部、洗い出さなければならない。

「海外の鑑定結果が出たら、すぐ俺に報告しろ」

「かしこまりました、瀧本社長」

伊崎大輝は一礼し、静かに執務室を出ていった。

扉が閉まると、室内には再び静寂が落ちる。

瀧本知暁は窓の外、絶え間なく流れていく車列を眺めながら、深く思考へ沈んだ。

六年前。

どうして片瀬澄乃は、あの夜、自...

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