第63章 修羅場

「でも……」

「英介って呼べ。じゃないと、この飯は食わない」

白岡英介はわざとらしく椅子を引き、立ち上がってみせた。

片瀬澄乃は慌てて呼び止める。

「し……英介」

英介は満足げに頷き、そのまま何事もなかったように腰を下ろす。

「うん、それでいい」

呼び方が変わっただけで、二人の距離がふっと縮まった気がした。

『スターバースト』シリーズの着想から、英介が出演する新作映画の美術テイストまで。言葉が途切れず、自然に話題が転がっていく。

大きな床までの窓から差し込む陽光が、二人の肩やテーブルに、あたたかな光の斑を落としていた。

澄乃は英介の冗談にふっと笑い、目尻がやわらかく弧を描...

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