第67章 嘘

瀧本知暁の視線が、刃のように鋭くなった。

「……なくしたのか?」

一歩、距離を詰める。逃げ場を塞ぐように片瀬結希へ迫った。

「なら、覚えてるだろ。ネックレスの細部を。宝石の形、刻印――どこのブランドのものか」

片瀬結希の背中が、ひやりと冷たい壁に当たる。手のひらは冷汗でびっしょりだった。

当時、彼女がネックレスを見たのはほんの一瞬。形だの刻印だの、覚えているはずがない。

だから、苦し紛れに口を開く。

「宝石は……丸い形で。刻印は、御華のマーク。御華の製品だったの」

瀧本知暁が、喉の奥で小さく笑った。嘲りだけが混じった、乾いた笑い。

片瀬結希の顔から血の気が引く。紙みたいに白...

ログインして続きを読む