第69章 入社

その日、澄乃は休みで、家でデザイン画の修正をしていた。前谷琴音が持ち込んだ話を聞いた瞬間、ペンを持つ指先がぴたりと止まる。

「高給で人を集める? 片瀬結希が急にそんなに張り切るなんて、ろくな魂胆じゃない」

ソファに腰を下ろしていた琴音が、唇を尖らせた。

「瀧本知暁にいい顔したいんじゃない? それか……澄乃の緋色に、真正面からぶつけに来たとか」

澄乃はペンを置き、静かな目で言った。

「何を狙っていようと、先に手を打つ」

少し考え、スマホを取り出して発信する。

「美耶。前に職場を変えたいって言ってたよね。御華が今、人を募集してる。条件も悪くない。試してみない?」

村田美耶が澄乃か...

ログインして続きを読む