第72章 証拠

「瀧本知暁は……子どもが自分の子だって、知ってるの?」

大川沙織が振り向き、片瀬結希を見た。目の奥に焦りが滲んでいる。

「……分からない」

片瀬結希は、本当に分からなかった。もし伊崎大輝が、自分と片瀬澄乃の会話を聞いていたなら――伊崎大輝は知っている。なら瀧本知暁だって、いずれ知る。

でも、もし。

伊崎大輝が聞いていなかったら?

その事実を知っているのは、片瀬結希と片瀬澄乃だけ。

片瀬澄乃が口を割らなければ、瀧本知暁は知りようがない。

――まだ、賭けられる。

片瀬澄乃は、瀧本知暁に子どもの存在を知られたくない。そうでなければ、帰国してこれだけ時間が経っているのに、なぜ公にし...

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