第74章 会いたい

電話の向こうで、片瀬結希の声が、わざとらしいほどの「可哀想」をまとって響いた。

「澄乃……今、私に会いたくないのは分かってる。でも、もうどうにもならなくて……。パパ、今日私が学校でやったことを知って、すごく怒って……私に失望したって。お酒もたくさん飲んで、今ずっと泣いてるの。澄乃のこと――娘として、すごく会いたいって。ちゃんと謝りたいって……」

片瀬澄乃は鼻で笑った。

「片瀬大介が私に謝る? 信じろって?」

あの男を、澄乃は知り尽くしている。利益しか見ない男だ。酒を飲んだところで、出てくるのは怒号だけ。役に立たない娘に頭を下げるなんて、あり得ない。

「本当だよ! 今、西区の雲山クラ...

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