第76章 三人目の子供

片瀬澄乃が団地の敷地に足を踏み入れた、その直後だった。スマホが甲高く鳴り、見知らぬ番号からの着信が耳を刺す。出た瞬間、冷えた機械音声が鼓膜へ叩きつけられた。

「片瀬澄乃だな? ガキが二人――片瀬奏太と片瀬奈菜。こっちで預かってる」

――どん。

頭の中で何かが爆ぜた。足元から氷が這い上がり、心臓を見えない手で握り潰される。

子どもたち……!

「前谷琴音は? それと、男の子がもう一人……!」

「邪魔な女と、余計なガキは一緒に休ませてやった。いいか、二人を生きて返してほしけりゃ、現金1000万用意しろ。連番なしの古い札だ。黒いスポーツバッグに詰めろ。夜が明ける前に持って来い。そしたら次...

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