第78章 金だけを求める

倉庫の中――空気が凍りついたみたいに重い。

聞こえるのは、片瀬結希の荒く怒りに濁った息づかいと、鉄扉の隙間から漏れ込む冷たい風のうなりだけだった。

片瀬結希は男たちの拘束を振りほどき、よろめきながら数歩下がる。汗で濡れた額に乱れ髪が貼りつき、目つきは刃物みたいに鋭い。視線の先には、隅で身を寄せ合う片瀬奏太と片瀬奈菜。

とりわけ奈菜――怯えで顔色が失せても、整いすぎた小さな顔立ちだけは隠しようがない。その「美しさ」が、結希の憎悪に油を注いだ。

「役立たずどもが! あたしが金払って雇ったのは仕事させるためよ! 足引っ張らせるためじゃない!」

傷跡のある男も顔を曇らせ、さっき掴んだ手を苛...

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