第79章 パパ

瀧本知暁!!!

高級仕立ての黒いコートをまとい、蹴破られた扉から流れ込む風に裾が煽られる。冷えきった横顔に表情はない。ただ、深い闇を湛えた瞳だけが――いま、すべてを焼き尽くすほどの怒りで燃えていた。

プライベートジェットを降りたばかりだった。スマホの電源を入れた瞬間、緊急の位置情報と救難信号が跳ね上がり、胸の奥を鋭く貫いた。

それが百分の百の真実か、罠か。確認する暇すらない。

恐怖が先に喉を締めた。賭けられない。ほんの僅かでも、賭けるわけにはいかなかった。

瀧本知暁は最精鋭の護衛を叩き起こし、位置情報だけを頼りにここへ直行した。

彼の背後から、同じく無駄のない動きの影がいくつも滑...

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