第88章 救出

市立病院の解剖室。

蛍光灯の白々しい光の下、片瀬和也は小さな踏み台に乗り、解剖台へ身を乗り出していた。眉間にはぎゅっと皺が寄っているのに、その目だけは同年代の子どもとは思えないほど落ち着いている。

先生がメスを手に細部を説明している最中、和也はふいにポケットの携帯へ指を滑らせた。

画面の隅に、かすかな赤い反応。

――来た。

以前、奏太と組んで瀧本知暁のスマホに仕込んだ位置情報アプリが、接近を感知している。瀧本知暁が近づけば反応する仕組みだ。

三つ子だと知られないために、先回りして身を隠す。そのための保険。

「先生、トイレ行ってきます」

手元の器具を置くと、返事を待つことなく和...

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