第90章 とんでもない一夜

片瀬澄乃は取り合わず、伊崎大輝に見張りを任せて、自分はタオルを濡らしに行った。

ところが三十分もしないうちに、瀧本知暁がまた暴れだす。氷風呂の浴槽から這い出し、全身びしょ濡れのまま、唇を紫にしてふらふらと澄乃のほうへ歩いてきた。

「……澄乃……」

片瀬澄乃は頭を抱えるしかない。結局また伊崎大輝に頼み、瀧本知暁を抱え上げて氷風呂へ放り戻した。

伊崎大輝は上へ下へと走り回らされ、汗だくになりながら、薬を盛った片瀬結希を心の中で何度も何度も罵った。

片瀬澄乃も休めない。十分おきに浴室へ様子を見に行き、水を飲ませ、時折額に手を当てて熱を確かめる。

瀧本知暁は彼女の姿を見つけるたび、捨てら...

ログインして続きを読む