第98章 クレリア

伊崎大輝が去っていく背中を見送りながら、瀧本知暁はスマホを取り出した。画面に映る片瀬澄乃の写真を見つめると、口元が勝手にゆるむ。

彼女がまだ自分を拒んでいることくらい、分かっている。

それでもいい。時間ならいくらでもある。いつか必ず、片瀬澄乃に自分の本気を見せつけてやる。

一方そのころ、片瀬澄乃は緋色のオフィスでデザイン画を確認していた。そこへ伊崎大輝が「入金の件」を持って現れた瞬間、彼女は一度だけ固まってから眉をひそめる。

「……このお金、どういうこと?」

「瀧本社長が決裁しました。緋色が資金のせいで進行を止めるのは駄目だって。それと、片瀬陽平にまた付きまとわれないように、警護も...

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