第3章

夜明け前にまた目が覚めた。昨日の発見が、今も頭に焼き付いている。私は見てしまったのだ――あの完璧な女を。そして、彼女が健太に向けるあの眼差しを。今、私が知るべきは、彼女が一体何者なのか、ということだった。

健太が仕事に出かける頃には、私はノートパソコンの前に座り、国際友愛病院の職員名簿をスクロールしていた。医師のプロフィールが何ページも続いたが、昨日見たような若く美しい女性は見当たらない。

見つからない。

だが、驚きはなかった――もし彼女が本当に有力な医者の家系出身なら、表向きのプロフィールには慎重になるはずだ。

携帯が鳴り、集中が途切れた。

「恵美? 真理よ。何週間も会ってないじゃない。どうしてるの?」

とっさにブラウザのウィンドウを最小化した。「元気だよ。ちょっと……医療関係のことを調べてて」

「医療関係? あなたがそんなことに興味持つなんて、いつから?」

「健太の仕事をもう少し理解しようと思ってね」

声のトーンはあくまで軽く保ったが、心の中ではすでに次の一手を練っていた。

電話を切った後、私は椅子にもたれて考え込んだ。ネットで検索するだけでは不十分だ――もう一度彼女に会って、自分が本当は何を相手にしているのかを理解しなければならない。

一時間もしないうちに、私は身支度を整え、病院に向かっていた。今度は準備万端だった――ノートとペン、そして明確な計画。国際友愛病院の向かいにあるコーヒーショップに入り、正面玄関が完璧に見える窓際のテーブルを選んだ。

昨日みたいに、当てもなくうろつくつもりはない。今日は、系統立てて観察し、すべてを記録し、証拠を固めるのだ。

午後になる頃には、ノートは三ページにもわたる観察記録で埋まっていた。医療スタッフの出入りする時間、どの医師同士が知り合いのように見えるか、彼らの交流のパターン。健太の仕事の世界、そしてあの女がそのどこに当てはまるのか、その全体像を構築していた。

その時だった。近くのテーブルに座っていた二人の医師の会話の断片が耳に入ってきたのは。二人は小声で話していたが、いくつかの単語だけがこちらまで漂ってくるようだった。

「……水原家……」と一人が言ったようだった。

私のペンが止まった。水原家。その名前に背筋が凍った――どこで聞いた名前だっただろう?

そして、氷水を浴びせられたように思い出した。絵麻が死んだ、あの夜。絵麻の治療方針の変更をあれほど強く主張していた、あの若い女医――誰かが彼女を「水原先生」と呼んでいなかったか?

「……美咲とかいう……T大学の……優秀な……」

水原美咲。恐ろしいほどの明瞭さで、パズルのピースがはまっていく。同じ苗字。同じ冷たい自信。もしこれが偶然ではなかったとしたら? 私の夫を奪った女が、あの時……

いや。そんなはずはない。

……あり得ないでしょう?

T大学。それに、産婦人科がどうとか言っていなかったか? 健太の部署だ。当然だ。

私は今や明白になった点と点を繋ぎ合わせながら、夢中でペンを走らせた。

「水原美咲――T大学医学部卒。医者の名家。健太の部署に配属」

すべてが腑に落ちた。これはただの若い医者なんかじゃない――計画されたことなんだ。彼らは私に代わる完璧な人間を見つけ出したのだ。若く、優秀で、由緒正しい家柄の。私が決してなれない、すべてを。

書いているうちに、手が震えだした。

「水原美咲――脅威、確認」

涙で視界が滲み、文字がぼやけたが、私は書き続けた。「彼女はすべてを持っている。私にはもう、失うものは何もない」

夕暮れが迫る頃には、もうこのコーヒーショップに座っていることはできなかった。私はノートを固く握りしめ、再び病院の中へと足を踏み入れた。

今度こそ、自分が何を探しているのかはっきり分かっていた。

エレベーターホールで、私は見つからずに観察できる柱の陰に陣取った。勤務交代の人の波が始まった時、私は準備万端だった。

そして、彼らはまたそこにいた――予想通りに。健太とあの女が、ナースステーションの近くで寄り添うように立っていた。

心臓が胃の腑に落ちた。

彼女は健太の言ったことに笑い、彼に腕を絡ませていた。まるでそこが自分の居場所だと言わんばかりに。彼は彼女の声をよく聞こうと身をかがめ、顔にはあの優しい笑みを浮かべていた――かつて私だけに見せてくれた、あの笑顔を。

吐き気がした。二人はあまりにも……自然に見えた。何か月もこうしてきたかのように。

「なんてこと……」私は囁き、震える手で携帯電話を掴んで自分を落ち着かせようとした。「いつからこんなことが?」

ノートに必死で書きなぐった。

「二度目の接触観察。親密度の増加を確認。彼女は権利があるかのように彼に触れる。彼はかつて私に向けたのと同じ笑顔を彼女に向ける」

涙が目に溢れ、文字が滲んだ。「彼女はもう彼を奪ってしまったのね?」

私は胸にノートを抱きしめ、ふらふらと病院を後にした。冷たい夜の空気が顔を打ち、止めどなく流れる涙と混じり合った。

一瞬、完全に打ちのめされた気分だった――彼女は私の持っていないすべてを持ち、健太はすでに彼女に惹かれている。

しかし、家路を歩くうちに、涙は怒りで熱くなった。「いいえ」私は激しく囁いた。「彼まで失うわけにはいかない。彼まで失うなんてできない」

私はすでに絵麻を失った。健太まで失うわけにはいかない。本当の喪失も、本当の苦しみも知らない、どこかの女なんかに。

「彼女にすべてを奪わせたりしない」一歩ごとに声が強くなった。「絶対に」

その夜、私は絵麻の子供部屋の前に立ち、両手を固く握りしめていた。もう泣くのはやめた。人々の憐れみの目に晒される弱い存在でいるのはやめた。

「私があなたを失って完全に壊れたと、みんな思ってる」私は空っぽの部屋に囁いた。「私が弱すぎて反撃できないと思ってる。まあ、彼らは自分たちがどれほど間違っているか、もうすぐ知ることになるわ」

健太が帰宅した時、私はキッチンで彼を待っていた。平静を装いながら。

「今日の仕事はどうだった? 忙しかった?」

「いつも通りだよ」と彼は言ったが、その声の何かが私に顔を上げさせた。

「何か面白い症例はあった? 新しく一緒に働く人とかは?」

彼はコートを掛けながら、ほんの一瞬、動きを止めた。「どうしてそんなことを聞くんだ?」

「あなたの仕事にもっと興味を持とうと思って」私は声をあくまで軽く、さりげなく保った。「いつか、あなたの同僚たちにも会ってみたいわ」

しかし、私はすべてを見ていた――彼の肩がこわばる様子、私と直接視線を合わせようとしないこと、そして彼がいかに素早く話題を変えたかを。

彼は何かを隠している。私には分かった。

そして今、私はそれを証明しなければならない。

その夜遅く、健太が眠っている間に、私はノートパソコンの前に座り、今日までに分かったすべてを整理していた。水原家の繋がり、水原美咲のT大学という経歴、健太の部署への戦略的な配置、そして二人の明らかな親密さ。

新しい文書を開いた。

『水原美咲計画――証拠収集記録』

明日、私はさらに深く掘り下げる。明日、彼らが本当に何を計画しているのかを暴くために必要な証拠を見つけ出す。

私はもはや、ただ嘆き悲しむ母親ではない。現実の脅威から、自分の結婚を守ろうとする女だ。

そして、私は勝つ。

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