第8章

夜が明け、朝日がカーテンの隙間から寝室に差し込み始めた。健太が仕事のために起きる時間。そして私は……決心を固めていた。

『私を愛してくれてありがとう。病気の私を、決して見捨てなかった』私は涙越しに、心の中で静かに語りかけた。『でも今度は、私が健太を救わなきゃ。あなたが、かつて私を救ってくれたように』

携帯のアラームが鳴り、健太の瞼がぴくりと動く。彼が完全に目覚める前に、私はそっとそれを止めた。そして静かにベッドを抜け出した。

彼の穏やかな寝顔を振り返り、私は囁いた。「もう一度だけの、二人きりの朝。あなたに、最後の完璧な思い出をあげさせて」

キッチンのブラインドから差し込む朝...

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