第5章

 莉々は、長谷川家が所有する個人病院へと移送された。

 順平が手配した専門医チームによる検査は、二時間もかからずに終わった。主治医が診察室から出てくると、手袋を外しながら単刀直入に切り出した。

「治療とは無関係な薬物の残留反応が見られます。それらがバイタルサインを抑制し、脳死状態に見せかけていたのです。薬を体外に排出すれば、四十八時間以内に意識を取り戻すでしょう」

 私は廊下に蹲り、息ができなくなるほど泣きじゃくった。順平はただ私の傍らに立ち、何も言わずにペットボトルの水をそっと手元に置いてくれた。

 前回の人生では、この薬物が莉々を「脳死患者」へと変えたのだ。まだ心臓が動いていると...

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