第113章 彼女と甘い恋路を語っている暇などない

その件が、彼女にはどうしても腑に落ちなかった。

頭が割れるほど考えても、答えが出ない。

風間悠希は、もともと七海のことを好きじゃなかったはずだ。

たとえ二人が裏で多少やり取りしていたとしても、それは彼女の目の届く範囲だった。感情が芽生える余地なんて、あるはずがない。

風間爺さんの存在が影響しているとしても、ここまで追い詰められて、完全に手も足も出ないほどになるなんて——。

けれど彼女は、風間悠希という男の性格を忘れていた。

冷淡で、感情に流されるのを嫌う。まして今みたいな場面で、彼女が口にした「その手の話」を、彼が好むはずもない。

「今、俺には急ぎの用がある。ここで色恋の話に付...

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